ハイパーユニフォーミティで創出する新しい固体物理
ハイパーユニフォーミティ(HU)[1,2] は、空間中に分布している多数の点がどれだけ規則正しく配置されているか、分類・定量化するための一般的な枠組みです。我々はHUを固体物理学の中で広く展開していくことを目指します。たくさんの原子が周期的に並んだ固体を(周期)結晶と呼びますが、周期性とは異なる規則性に従って原子が並んだ準結晶や、不規則な配置をもつガラスのような物質もあります。HUは、これらの物質構造を統一的に捉え、どれだけ全体的に均質(ユニフォーム)な性質を持っているかを明らかにします。
例えば、原子がランダムに分布している場合、原子が沢山集まっている(密な)領域と少ない(疎な)領域ができます。しかしHUを持つ物質ではこの疎密が際立って小さく、ある種の秩序が隠れていることがわかります。
これを応用すれば、非周期的な構造をもつ物質の中に異なるタイプのものを見出し、その性質を追求することができます。例えば、電気や磁気などに特徴的性質をもつ新しい材料を見つけたり、設計したりすることが可能になります。
つまり、HUは「非周期物質に潜む秩序を見つけて、その物質の性質を解き明かすカギ」と考えられます。
[1] S. Torquato and F. H. Stillinger, Physical Review B 68, 041113 (2003).
[2] S. Torquato, Physics Reports 745, 1 (2018)
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